スイミングスクールはサービス業でもありますから、お客さんを選ぶことは出来ません。しかし、子どもには問題がなくても親に問題がある場合、それがよっぽどであれば、いくらサービス業であってもサービスの提供をお断りする場合もあります。
もちろん、お断りするほどのお客さんは少ないですが、スイミングスクール側から「要注意」と見られる場合があります。
ここではどんな親、どんなママが「要注意」と見られるかを書いてみます。
子どもをコーチに任せてくれないママ
ママと一緒にスイミングスクールに来て、ひとりでプールに行ける子どもとそうでない子どもがいます。プールに入るのを嫌がる子どもは、ママに泣いてしがみつきます。
このときコーチは子どもが泣いていても抱いて連れて行きますが、ママがそれを拒み、コーチに任せることが出来ずに、その日はプールに入ることを諦め帰ってしまうことがあります。
さすがに母子分離に慣れているコーチでも、強引にママから子どもを引き離してプールに連れて行くことは出来ません。それにはママの許可が必要ですので、コーチから話して促しますが、ママが子どもを溺愛しすぎてコーチに任せてもらえない場合があります。
そんなママに限って「なぜ、うちの子はいつまでも泣いているのでしょう?」なんて相談してきます。だからコーチの間で「あのママには要注意!」となります。
月謝を払ってくれないママ
意外といるのがお金を払ってくれないママです。子どもが自分で通える年齢になっていて、月謝を納めてくれなくて、家に連絡しても繋がらず、子どもに手紙を持って帰らせても連絡が取れず、銀行に残高も残ってないので請求も出来ない。サービスの停止をしたくても、子どもは何も知らずにスイミングスクールに通ってくるので帰らせるわけにもいかず、仕方がないのでレッスンに参加させます。
結局は内容証明の郵便で、これまでの月謝の請求とそれが出来なければ自主退会を促してやっと来なくなりましたが、なんだかこちらとしては寂しい気持ちになるものです。
自分の意思のないママ
スイミングスクールでは水泳技術を教えますが、同時に育児相談に乗る場合もあります。特に初めての子どもの場合は、どうすればいいか悩むことも多いので、コーチは押し付けにならない程度に悩んでいそうなママにアドバイスをします。
しかし、そのときはコーチのアドバイスに頷いていても、他のママの意見やどこかで見聞きしてきたことの方を信じて、こちらがいっていることと逆のことをしたりします。
コーチとしては安全上のルールは強制的にでも守ってもらいますが、育児のことや子どもへの接し方に対して強制することは出来ません。
そういうママに限って、子どもが出来ないときにコーチのせいにしたりすることもあります。当然コーチは「あのママは要注意!」となります。
見ていることが出来ないママ
「親という字は、木の上に立って見ると書く」といわれます。親であれば子どもに手を貸さず、見守ることが大事ということですが、これが当てはまらないママがスイミングスクールにはたくさんいます。
一番多いのは、自分の子どもがトイレに行きたくてモジモジしているのを見て、受付のスタッフに「うちの子をトイレに行かせて」と伝えに来たり、場合によっては直接プールサイドまでやってくるママもいます。
ママの気持ちは十分わかりますが、子どもがトイレに行きたいのであればコーチに言えば大体は行かせてくれます。実はコーチも子どもがモジモジしていることに気が付いていて、自分でコーチに言ってくることを待っている場合もあります。そうなるとコーチが子どもに自分でやらせようとしていることは、ママの行動で丸潰れです。
ママがコーチの手を煩わせたくないとか、我が子がコーチに迷惑をかけていると思ってもらえることはありがたいのですが、コーチはそれ以上に自分には任せてもらえないと感じています。
もちろん、我が子が他の子どもにいじめられている場合や、緊急事態にも関わらずコーチが気が付いていない場合は見ている場合ではありませんので、すぐに受付やコーチに伝えてください。
コーチを悪者にするママ
子どものしつけや練習のためにコーチが子どもに厳しく接したときに、コーチを悪者にするママがいます。
レッスンが終わってプールから上がってきて、子どもがションボリしていたら、「コーチが怖かった?水が冷たかった?お友達に何かされた?」とネガティブなことをいうママがいて、子どもはそうでもなかったのに、ママにいわれたからそう思うようになる場合があります。そしてお決まりのコースは「子どもがそう言ってます!」と受付に怒鳴り込んでくるママ。
一番厄介なのは、それが子どものためだと信じて疑わず、自分のやっていることの誤りに気がつかないママで、こういうママにコーチは助言したくありません。まさに要注意ママです。
番外編 見学室のガラスをコンコンするママ
これは本人に悪気はないと思うのですが、見学する場所にあるガラスをコンコンと叩くママがいます。それはわざと叩いているわけでなく、例えば何らかの荷物を動かしたときのコンコンや、抱っこしている赤ちゃんの持っているおもちゃが当たってのコンコンもあります。
実はベテランのコーチになればなるほど、窓をコンコンとされると寿命が縮まります。
これには理由があって、もしプールで子どもが溺れそうになった場合、親は見学室の窓をドンドン叩くことでコーチに気づかせようとします。ですから、コーチは窓のコンコンにとても敏感になっており、コンコンと音がしただけで、そちらの方をギョロ!っと睨むこともあります。
逆に、わざとコンコンとしても、誰もコーチが気がつかなかったら、そのプールはちょっと怖いかもしれません。