元水泳コーチのスイミングのハナシ

スイミングスクールで26年働いた元水泳コーチのお話です

スイミングスクールのクレームで1番多いのは「見てくれない」「教えてくれない」

26年もスイミングスクールで働いていると、お客さんからさまざまなクレームをもらいます。その内容はピンからキリまであり、「それはちょっと・・・」と思うことから、「貴重なご意見ありがとうございます」と実行出来るものまで様々です。

そんなクレームの中で一番多いのが、子どものレッスンに関することで、子どものことを見てくれていない、子どもに教えてくれていないというような内容です。

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一番多いクレームが起きる理由

保護者の方が子どもをスイミングスクールに通わせる理由は様々ですが、最初は健康のためとか溺れないようにとか、安全に関することだったのが、いつしか進級テストで合格することになっているでしょう。

スイミングスクール側も進級することで継続意欲を煽りますし、子どもも進級することが楽しみですし、保護者も我が子のことが自慢出来ます。進級テストというのは3者にとって大事なものになっているはずです。

そんな大事な進級テストで不合格したときに、合格できなかった理由が、子どもの実力不足であれば納得のしようもありますが、そもそもレッスンで教えてもらっていない、レッスン中に注意されていない、もっといえばレッスン中にはOKをもらっていた。そんなことがあれば保護者が不信に思って当然です。

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さぁ、こうなったら保護者は黙っていられません

保護者のアナタはコーチを捕まえて、文句のひとつもいいたくなります。しかし ベテランのコーチになればなるほど素直に聞いてくれますが、中途半端に経験のあるコーチは自分を正当化したいので、難しい言葉や理屈で保護者を丸め込もうとします。

これが火に油を注いだことになり、「もうアナタじゃ話にならない!責任者を呼んで!」というところまでヒートアップ、責任者に向かって「こうなったら良い機会だからアレもコレもいわせてもらいます!」と腹に溜まっていたことを吐き出すようにまくし立てれば、もう後に引き戻せなくなってしまいます。しかし何かのきっかけで冷静になれば、「ワタシ何をしているの?」と思い始めます。

すみません、後半は妄想が入ってしまいましたが、クレームで一番多いのは子どものレッスンのときに子どもを指導してくれていないことであり、進級テストが大きく関わっているということがいいたかったのです。

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進級テストの結果を待たずにドンドンいいましょう!

なんだかクレームをいうことを止めるような書き方になったかもしれませんが、この内容のクレームはドンドン言った方が良いでしょう。

言うときのコツは、出来るだけ進級テストについては触れず、「出来てないことがあれば子どもに注意して欲しい」と伝えれば良いでしょう。進級テストに触れないのは、子どもが出来ていないのに強引に合格にされる場合があるからです。コーチからすれば「進級してしまったら文句はないだろう』となりかねませんからね。

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このクレームをいうときの注意点

子どものレッスンでコーチがちゃんと指導してくれていないと感じたときには、そのことをコーチに伝えることは問題ないと思います。

ただし、元コーチとして2つだけ気を付けておいてほしいことがあります。

  • 保護者には理解できない練習方法がある
  • レッスンでの距離と進級テストでの距離

保護者には理解できない練習方法がある

例えばクロールの呼吸が進級テストの項目なのに、レッスンではクロールの呼吸の練習をせずに上向きと下向きのバタ足を繰り返してクルクル回って進んでいるだけで、手を回さずに泳いでいたとします。

保護者はそれを見て、進級テストの練習をして欲しいとクレームをいうのですが、実はこれが本当に呼吸の練習だったりする場合があります。

ここではその説明は長くなるので避けますが、コーチは医者と同じように、患者である子どもに合った方法で指導していきます。コーチの目で見てこの子どもには、別の方法が良いと考えれば、平気でその子どもだけ別メニューを行います。

本当に気が利くコーチであれば、そのことを事前に保護者に伝えてくれますが、時間が限られている場合、そこまで出来ない場合もあります。

そんなときはクレームではなく練習の意図などを聞けばいいでしょう。

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レッスンでの距離と進級テストでの距離

これもクレームの多い内容ですが、25m完泳が進級テストの内容なのにレッスンでは10mくらいしか泳いでなくて、それが原因で不合格になったというものです。

これは元コーチとして断言しておきますが、25mくらいなら10mの繰り返し練習で泳げるようになります。もちろん必ず全員がというわけではありませんが、それで不合格になるのは、残念ながら子どもの能力がまだ足りていないだけです。

これはたとえ話で出す内容ですが、42.195km走るマラソン選手が、毎回の練習で42.195km走っているかといえば走っていません。体にかかる負荷や42.195km走るときと同じ状況を作り出して練習しており、42.195km走らなくても走っているのと同じことが経験出来ているので、不安なく望めるのです。

スイミングスクールのレッスンでいえば、10mを3回繰り返せば30mになります。途中で2回休憩が入りますが、この休憩を減らしていくことで25m泳いでいるのと同じ状況を生み出します。教えるのが上手いコーチなら、子どもをその気にさせて10mを一気に10回くらい泳がせます。もちろん間に休憩は入りますが合計すれば100mです。そんな練習を繰り替えしていれば、25mなんて余裕で泳げるでしょう。

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まとめ

  • スイミングスクールで一番多いクレームは、コーチが子どもを見てくれない教えてくれないです
  • 子どもを教えてもらえていない、見てくれていないと感じたらコーチに伝えましょう
  • 練習内容についてはコーチしかわかっていないこともあるので、その場合はクレームではなく練習の意図を聞くこと
  • 進級テストの距離とレッスンでの繰り返し練習の距離の違いよりも、繰り返し練習の休憩時間に注目すること

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